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やすんごのギリシャ・イタリア紀行(その43)
旅の終わりと学んだこと
   
(ミラノ空港から帰国へ)

 最後の晩餐の鑑賞時間であった15分はあっという間に経過した。12時45分になると、英語で出てくさいとのアナウンスが流れ、私たちは後ろ髪を引かれつつ、部屋を後にした。出口はミュージアム・ショップにつながっており、買い物を早々に済ませ、バスで空港まで向かった。

 帰りの飛行機は、行きと同じように、英国航空でミラノからロンドンのヒースロー空港まで飛び、日本航空で成田まで飛ぶものであった。全員無事に成田に到着し、解散した。

(旅行を終えて)

 13日間の研修旅行であったが、実に内容が濃い旅であった。

 ギリシャのガイドのアンナが言っていた「専門家と一緒に旅行することは、普通の観光旅行とは全く異なる体験をすることになる」という言葉の意味を実感できる旅行だったと思う。大妻女子大の学生たちが、どの程度その価値を理解しているのかは心許ないが、学生たちも西洋文化の基本の基本に触れることができ、まずは、よいスタートを切ったのではないかと思う。

 私自身で勉強になったと思うことは次の通りである。

 第一に、ギリシャの古代文明、黄金期の古典時代について、ミケーネ、アテネ、コリントンという中心都市とともに、オリンパスやデルポイなどの聖地を回ることにより、宗教(ギリシャ神話、神託)、文化(彫刻、絵画、建築物)、歴史(古代から近代まで)を体系的かつ多角的に理解することができた。特に、ギリシャからローマへの連続性、特に、東ローマ帝国がギリシャ文明と強い連続性の中にあることについて理解できたことはよかった。

 第二に、キリスト教の発展について、使徒パウロの足取り、聖人の聖遺物、イコンの内容、関連する聖書物語などを通じて理解が深まった。特に、日本人はローマンカソリックに目が向きがちであるが、パレスチナからギリシャ世界にまず伝導が進み、東ローマ帝国内でギリシャ語により広まったギリシャ正教という、キリスト教の正統進化の道筋についての理解が深まったことは大きかった。

 第三に、地中海世界の複雑な歴史に関する立体的な理解が得られた。ギリシャ、ローマ、オスマンという大国の興亡だけでなく、大航海時代前の地中海ではヴェネツィア、ジェノヴァのような海洋共和国の役割が極めて大きく、かつ、軍事面においても大きな影響力を公使していたことや、ギリシャにおけるオスマンとヴェネツィア、イタリアにおけるオーストリアハンガリーなどの影響に目がいくようになった。また、ギリシャやイタリアの分断された歴史についての理解が深まった。
 
 第四に、上記とも重複するが、今回の旅行は世界遺産の旅であったともいえる。今回訪問した世界遺産の数は、ギリシャでは、@アテネのアクロポリス、Aミケーネの古代遺跡群、Bアスクレピオスの聖地エピダウロス、Cオリンピアの考古遺跡、Dデルフィの古代遺跡、Eオシオス・ルカス修道院の計6つ、イタリアでは、@ジェノヴァのストラーデ・ヌオーヴェ、Aチンクエ・テッレ、Bフィレンツェ歴史地区、Cラヴェンナの初期キリスト教建築群、Dヴェネツィアとその潟、Eヴェローナ、Fマントヴァ、G最後の晩餐とサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の8つ。両国あわせると合計14カ所もの世界遺産を今回の13日の日程で見学することができたことは、この研修旅行の内容の濃さの証明でもあった。

 第五に、文化面で、ギリシャ文化の文芸復興としてのイタリア・ルネッサンスの主要作品と多く接することができたことをあげたい。特に、ダビンチとミケランジェロの主要作品を直に見ることのできたことは大きい。
  
 最後に、食を通じて、ギリシャとイタリアの現在の文化に触れることができたことも特筆事項である。食事はすべて美味かつ適量であったし、ワインも十分に楽しむことができた。

 今後このような研修旅行が、特に東ローマ帝国の領域を対象として、企画されるのであれば、是非参加したいと思う。

 
   
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